Abstract: pH指示薬と血清アルブミンとの反応で低下する吸光度の測定に基づく色素結合法による血清アルブミン定量法の特性について,化学平衡論により解析し4種類のスルホンフタレイン系pH指示薬を用いた実験結果と比較した.解析は結合が血清アルブミンの正荷電解離基と解離型色素陰イオン間で起こると仮定し行い,次の結果を得た. 1)この反応では,試験溶液の吸光度が空試験溶液の吸光度よりも低くなる,見掛けの吸光度が負値になるpH領域が色素の種類に関係なく存在する.2)吸光度低下度は反応の平衡定数,解離型色素陰イオン及び色素タンパク質複合体のモル吸光係数により変化する.3)吸光度低下度はタンパク質濃度と比例し,吸光度低下度の測定により血清アルブミンが定量できる.4)イオン強度の吸光度低下度に及ぼす影響は小さい.5)検量線は色素濃度が高いほど直線に近づく.これらの計算結果は実験結果とおおむね一致し,吸光度低下度の測定に基づく色素結合法が,血清アルブミン定量法に応用できることが化学平衡論的に裏付けられた.
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